AppleのBeatsへの30億ドルという巨額投資は、1996年のNeXTへのオールインの賭けと比べれば確実なものだった | AppleInsider

AppleのBeatsへの30億ドルという巨額投資は、1996年のNeXTへのオールインの賭けと比べれば確実なものだった | AppleInsider

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1996年のスティーブ・ジョブズとギル・アメリオ

アップルが最近発表したヘッドフォンメーカー兼音楽ストリーミングプロバイダーのBeatsの30億ドルでの買収は同社史上最大の現金支出となるかもしれないが、クパチーノの同社にとって買収への最大の賭けからは程遠い。

1996年12月、当時のApple CEO、ギル・アメリオがスティーブ・ジョブズのNeXTを4億ドル以上で買収すると発表した当時、世界は全く異なる様相を呈していた。トニ・ブラクストンの「Un-Break My Heart」がHot 100で首位を獲得し、香港はまだイギリスの植民地であり、Windows 95の大ヒットによりAppleは苦境に立たされていた。

NeXT買収前の四半期にAppleが2,500万ドルの利益を計上したことは、多くのアナリストを驚かせた。当時、時価総額が20億ドル近く減少していたAppleは、再び損失を出すと予想されていたからだ。Appleの礎を築いたMacは依然として苦境にあり、アメリオ氏はNeXTとMacのゴッドファーザーであるジョブズに救いの手を見出した。

そこでアメリオとジョブズは合意に至った。アップルはネクストに現金4億2900万ドル(インフレ調整後6億4800万ドル)を支払い、ジョブズに自社株150万株(当時の価値で約900万ドル(1350万ドル)相当)を付与するという内容だった。買収発表時の時価総額はわずか29億ドル(43億ドル)だったアップルは、ジョブズと彼の新しいオブジェクト指向オペレーティングシステムに会社株式の15%以上を賭けていた。

失敗はAppleの終焉を意味していた可能性が高く、ジョブズも当時は確信が持てなかった。NeXTは数億ドルもの資金を浪費したが、成果はほとんどなく、彼のもう一つの会社であるピクサーもハードウェア販売に失敗し、長編アニメーション事業に進出する羽目になった。

幸運にもジョブズはその任務を遂行し、Appleは今や世界で最も裕福な企業の一つとなった。NeXTの技術に支えられたiPhoneとiPadは、ポストPCムーブメントの旗手であり、Macはかつてないほど人気を博している。

アメリオ氏がMacを救うためにNeXTに賭けたように、現Apple CEOのティム・クック氏はiTunesを救うためにBeatsに期待を寄せているようだ。音楽販売は急速にストリーミング配信に取って代わられつつあり、Appleの取り組みは、iTunes Radioの4000万人のユーザーを抱えているにもかかわらず、精彩を欠いている。

Beatsとの契約には、26億ドルの現金と4億ドルの株式が含まれており、これはジョブズ氏とアメリオ氏が約17年前に合意した契約とほぼ同様です。30億ドルという金額は比較的驚異的ですが、実際には、Appleの今や莫大な時価総額5,389億ドルのわずか0.5%に過ぎません。

年間7万5000ドルの収入があるApple社員が同規模の買い物をした場合、NeXTの買収は車を買うようなもので、Beatsとの契約は豪華なランチをもたらすことになる。

アップルは、この比較的わずかな金額で、急成長中のストリーミングサービス(Beats Musicは過去2ヶ月で規模が倍増したとみられている)を獲得し、音楽業界の重鎮であるジミー・アイオヴィンとドクター・ドレーを経営陣に迎え入れることになる。さらに、年間10億ドル規模の収益性の高いアクセサリー事業も手に入る。

アイオヴィンとドレーがアップルにとって良い結果をもたらすかどうかは時が経てば分かるだろうが、価格について心配する必要は全くない。アップルには外食する余裕がある。