サム・オリバー
· 1分で読めます
ダラス・モーニング・ニュースより、アマゾンの倉庫。
アマゾンの支配下に入った出版社はハシェットだけではない。オンライン小売大手は英国の小規模出版社への圧力を強め始めており、ある出版社幹部が「業界にとって一種の自殺ほう助」と例えるような条件を要求している。
BBCによると、アマゾンが求めている譲歩の中には、出版社が需要に追いつけない場合に人気書籍の自社版を印刷する権利や、出版社が他の流通チャネルに新しい電子書籍契約などアマゾン自身には適用されない条件を提示することを禁じる新たな「最恵国待遇」条項などがある。
出版社は、アマゾンのデジタル印刷書籍が従来のオフセット印刷書籍よりも品質が劣ると多くの人が考えているため、消費者に混乱を招き、出版社の評判を傷つけるのではないかと懸念している。アマゾンに「最恵国待遇」の地位を与え、さらにアマゾンが送料を補助する姿勢で知られていることと相まって、消費者が独立系書店や出版社から直接書籍を購入するインセンティブを実質的に失わせる可能性がある。
業界誌「ザ・ブックセラー」編集者フィリップ・ジョーンズ氏によると、ワシントン州シアトルに本社を置くアマゾンは、出版社にとって祝福であると同時に呪いでもあるとみられている。
「(書籍出版社にとって)最悪の事態は、アマゾンが消滅することだ」と彼はBBCに語った。「次に最悪なのは、アマゾンがさらに支配的になることだ」
アマゾンは、米国でライバルのアップルに代理勝利したことで勢いづいたのか、英国の出版社に対し自社の条件を受け入れるよう「脅迫」してきたと、ある出版社の代表者が英国放送協会に語った。少なくとももう1社の出版社は、返答は「簡潔で単刀直入なノー」だと述べたが、その決意が業界全体にどの程度浸透しているかは不明だ。
小規模出版社は、世界的大手出版社アシェットとアマゾンの交渉を注視しているようだ。アシェットはアマゾンと係争中で、J・K・ローリングやジェームズ・パターソンといった作家の書籍がアマゾンのオンライン書店から撤去されている。アマゾンはアシェットの電子書籍の価格交渉は消費者の利益のためだと主張しているが、業界ウォッチャーの多くは、アマゾンがアップルの損失を利用して、より収益性の高い販売契約を結ぼうとしていると考えている。